日本の3大テーマパーク。
東京ディズニーリゾート(TDR)。
ユニバーサルスタジオジャパン(USJ)。
あとの1つは?
…そう、
サンリオピューロランドだ。
(諸説あるが、解釈は人それぞれである)
最近、「男同士でディズニーに行く」ことに関する是非が各方面で議論されている。
確かに、ディズニーはどちらかと言えば女性からの支持が多い。
ただ、僕からすれば、ディズニーなんて毎日あれだけ沢山の人が来るのだから男同士で行くという発想のは何ら不思議ではないし、皆が皆女性を誘えるわけでもないので、全然問題無いと思う。
そして何より、ディズニーは男だけで行っても十分楽しめるような設計になっている。
同様にUSJもそうだ。
USJはスパイダーマンやターミネーターのような男性に人気の映画をテーマにしたアトラクションも多いので、男だけ行っても楽しいはずだ。
…しかし、
サンリオピューロランドの場合はどうだろうか。
サンリオの主なキャラクターは、ハローキティ、ポムポムプリン、キキララ…。
誰がどう考えても明らかに女の子向けである。
そこで、今日は僕と友人の四ツ倉(よつくら)君と共に、男2人でサンリオピューロランドは楽しめるかどうか検証することにした。
初めに言っておくが、パーク内で遊ぶに当たって、ルールを1つ決めている。
それは、「他の人達に迷惑をかけないこと」だ。
大きい声を出したり、女の子向けだからと言って変に馬鹿にしたような態度を取れば、他のお客さん達やパークを運営するスタッフの方々が嫌な気分になる。
しかし僕達は大丈夫だ。
この表情を見れば、
入場した僕達は、まず始めにアトラクションに乗ることにした。
前日のうちに、2人でどう回るかスカイプで1時間半も話し合っていたので、何に乗るかは予め計画していた。
「サンリオ・キャラクター・ボート・ライド」である。
これは船に乗って様々なキャラクター達に出会いながら航海をするという、ディズニーランドでいう「イッツ・ア・スモールワールド」のようなアトラクションだ。
乗るまではかなり緊張した。
しかし、一旦乗って進んでみると、不思議なことにだんだんサンリオの世界観に馴染んできた。
外を歩いているときは、子連れのファミリーと女子高生、女子大生しかいない中で非常に恐縮してしまっていたが、一回乗れば外界とは遮断されるので全然恥ずかしくない。
むしろそれどころか、キャラクターも可愛いし、流れる曲も心地よく、男の僕でも気分が良くなる。
「あれ、確かキキララだよね」
「あー懐かしいなあ」
僕達はすっかりサンリオの世界に入り込んでいた。
僕は幼稚園児の頃、バツ丸のカバンやケロッピの弁当箱を使っていたので、まるであの頃に戻ったかのような懐かしい感覚で楽しんでいた。
しかし、その安堵は長くは続かなかった。
終盤に差し掛かったところで、モニターにこちらの様子が映し出されたのだが、
そこに映る自分達の姿を見た瞬間、いきなりテンションが下がってしまった。
何だろうか、この場違い感は。
自分達の姿を客観視したら、急に冷静になった。
この表情を見れば分かるだろう。
大学3年の男が2人ボートに乗ってサンリオの世界を旅しているのだ。
キャラクター達は平等に僕達を歓迎してくれるが、何だかいたたまれない気持ちになる。
そこで、僕達は昼食を食べることにした。
平日で、しかもまだ11時過ぎなので比較的空いているだろうと思い行ったところ、
想像より遥かに空いていた。
というか、誰もいなかった。
レジで直接注文し、好きな席に着いて食事を取るフードコート形式のレストランだったのだが、
誰もいなかったので、
「キティちゃんもぐもぐカレーを1つ」
と、僕の声だけが響いた。
一方四ツ倉君は何を頼むか悩んだようで、なかなかメニューを注文できないでいた。
そのせいで、ポツポツと人が並んできてしまった。
声から察するに、後ろには女子大生の集団がいる。
四ツ倉君はカレーにするかラーメンにするかで相当迷っていて後ろの行列に気付かず、何度も僕に
「どっちがいいかな?どっちがいいかな?」
などと何度も僕に相談してきたのだが、僕は後ろで人が詰まっているのと、それがよりによって女子大生軍団という僕達の天敵だという事実にただ焦っていた。
恐る恐るチラリと女子大生達の方を見ると、
彼女らはまるでモンスターを見るような目で僕達を眺めていた。
確かに男2人がサンリオのフードコートのレジでカレーかラーメンかで迷っている姿は、さぞ奇妙に見えただろう。
「キティちゃんもぐもぐカレー」はこちらだ。
ご飯がキティちゃんの顔の形で、他にもコロッケやウィンナーにキティちゃんの顔が書いてある。
ほとんど誰もいないフードコートのど真ん中の席で、僕は今「キティちゃんもぐもぐカレー」を食べようとしている。
食べようと思ったところで、レジのお姉さんに貰った謎のビニールの存在を思い出した。
これは一体何なのだろうか。
そう思い、広げてみると、
意外と似合った。
ちなみに四ツ倉君が頼んだのは、「クロミちゃんカレー」だ。
味についてだが、予想していたよりも結構美味しかった。
お腹が空いていたという理由もあるが、5分ほどで完食した。
食べ終わった後の皿を見ると、
「のこさずたべてくれてありがとう!」と書いてあった。
まさか21歳にもなってこういう形で感謝されるとは思わなかったので、
結構うれしかった。
その後は、パーク内を探検しようと色々回ってみることにしたのだが、
1つ思ったことがあった。
全体的にピンクだということだ。
確かに、僕の調査によると女子小学生の服装や持ち物は9割ピンクと水色で構成されているので仕方がないことではあるかもしれないが、それにしてもピンクすぎる。
ポップコーン・マシンを見つけた。
「キティちゃんもぐもぐカレー」だけではお腹が一杯にならなかったので、買うことにした。
お金を入れて味を選ぶと、「ハンドルを回して!」と言われたので、
回した。
回したのだが、やはり小さい子向けに設計されているのか、体勢がかなりきつい。
しかし、僕は回しながらあることを思った。
「これ、別に回さなくても出来上がるんじゃないか…?」
そう、回さなかった結果ポップコーンの製造が失敗してしまえば商品として成り立たない。
そこで一旦手を止め、様子を見てみた結果…、
やはり回すか回さないかは出来上がりに影響しなかった。
ポップコーンを食べながらブラブラ歩いていると、
アトラクションを見つけた。
乗り物系だ。
調べてみると、どうやらこれは「マイメロディ&クロミ・マイメロードドライブ」という、「マイメロカー」に乗ってドライブを楽しむことができるアトラクションらしい。
面白そうだったので乗ることにしたのだが、ここで問題が発生した。
さっき乗ったボートの方は搭乗口も降り口も入り込んだところにあったのでこっそり乗ることができたのだが、
こちらの「マイメロードドライブ」の方は、
完全にさらし者になる。
今までの緊張は「自意識過剰だよ」の一言で納得させることができたが、今回は流石に過剰ではない。
妥当な自意識と言っていい。
整列のためにパーテーションも設置してあるが、平日の昼間ということもあり誰1人として並んでいないので、スタッフの方は全員全力で僕達を案内・サポートし、見届けることになる。
しかしここで乗らなかったらあとで後悔するかもしれない。
でも乗るのも勇気がいる。
乗るか乗らないか。
僕達2人は5分間話し合った。
乗った。
一旦乗ってしまえ先ほどのボートと同じように違う部屋に移動し外界とはシャットアウトされるため、全然恥ずかしくない。
時々障害物のようなものがあったり、何度も別の部屋に移動したり、そして機械が「マイメロカー」に乗る僕達の写真を撮ってくれたりするので、何だかテンションが上がる。
ところで、この写真、なかなか良く撮れたと思ったので…、
購入した。
出発からゴールまでの中で10枚近く写真を撮ってもらえるのだが、終わった後にタッチパネルのモニターを操作し、気に入った3枚の写真を選択することができる。
するとレシートが出てくるので、それをカウンターのスタッフのお姉さんの所へ持っていくのだが、これがなかなか勇気がいる仕事だった。
なぜなら、乗り終わった後四ツ倉君はすぐにトイレに行ってしまったので、僕1人でレシートをお姉さんのところまで持っていこうとしたのだが、ふと、
1人でレシートを持っていく
↓
お姉さんは、「この人は彼女と来たのかな」と思いプリントアウトする
↓
と思いきや真顔の男が2人並んでいる写真が出てきてびっくり
という流れを頭の中で想像してしまったからだ。
しかし、スタッフのお姉さんは何の疑問を抱くこともなく笑顔で受取から引き渡しまでの作業をしてくれた。
僕はその瞬間その丁寧な対応に感動してしまい、ちょっと泣きそうになった(上から目線ですみません)。
しかし勢いで買ったのはいいものの、この写真、
一体この先どういう気持ちで所持し続ければ良いのだろうか。
昼食の注文の際に、後ろの女子大生達からは凄い目で見られた僕達だが、レジのお姉さんは優しかった。
「サンリオは初めてですか?」
と聞かれたので、
「はい」
と答えると、
「ショーやパレードもあるので是非見ていってくださいね」
と笑顔で言われた。
明らかに様子がおかしい男2人にも、他のお客さん達と平等に扱ってくれたスタッフのお姉さんのホスピタリティーに僕達は心から感動したので、
お姉さんの言った通り、
ショーを観た。
そして、そろそろ帰ろうかと思ったところで、僕はある重要なことを思い出した。
「キャラクターと写真を撮っていない…」
そこで、僕達はその辺にいたあまり有名ではなさそうなキャラクターに写真を頼んだ。
どうやら、「ガーネット」という名前らしい。
ガーネットは少しシャイな性格で、何度写真を頼んでもどこかに隠れてしまう。
単純に男2人への対応に慣れていないだけなのだろうか。
しかし、何度も何度も頼み込んだ結果、
一緒に撮ることに成功した。
これで思い残すことはもう何も無い。
そう言いながら、僕達はサンリオピューロランドを満足げな表情で後にした…。