女性用下着の「リボン」の意味:佐々木ゼミナール・プレゼン

 

 

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概要

ふと思うことがあった。
どうして女性用の下着には小さなリボンが付いているのだろう。
僕は男なので穿いたことは無いが、一般的にショーツというものが腰をゴムで固定できるような構造になっていることくらいは容易に推測できる。
ではあのリボンは何の為にあるのだろうか?何故あの位置にあるのだろうか?
眠れない日々が続いた。
そして僕は決心した。
「じゃあ自分で調べることにしよう」。

 

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予想①:デザインとしての飾り、装飾

そこで僕はまず「リボン」という言葉の意味を調べることにした。
何と言っても僕は現代っ子、調べ物にはいつもWikipediaを使っている。
Wikipediaで「リボン」と入力すると、こんな説明が出た。

リボン(ribbon)とは、ヒモ状の織物のこと。多くは平たく細長い形状をしている。髪や衣服の装飾、または贈答品や表彰をするときに使われる。(中略)このため、キャラクターやピクトグラムなどの作成で男女を区別させる必要がある場合、女性側にはリボンをつけることがある(男性側にはネクタイや帽子(キャップなど)を用いることが多い)。

つまりリボンとは古くから女性の象徴として描かれてきた。
リボンとは女性らしさを表す証なのである。

同時に、女性の印としてリボンを付けることにはこんな役割もある。

僕は小さい頃、よく洗濯の手伝いをしていた。
洗濯機の操作は簡単だ。洗剤を入れてボタンを押すだけだ。
干すのも同様に簡単だ。ハンガーに掛ければいい。
畳むのもやり方さえ分かれば誰でもできる。
しかし問題はその後だ。
一体どれが誰の服なんだ?

そんな時このリボンが役に立つ。
下着と言うのは人間の衣服の中で最も恥ずかしくデリケートな物だ。
もしシャツやズボンを自分のではないものと取り違えられたとしても、直せばいいだけで精神的な被害はあまり無い。
しかし下着の場合はそうではない。
つまり、リボンがあれば、これは女性用、無ければ男性用と簡単に判断することができる。

 

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予想②:前後を分かりやすくするための利便性

僕は男なので、まずは男性用下着について説明しよう。
僕が今まで穿いてきた全ての下着には必ず後ろ側にタグが付いていた。
これによって瞬時に下着の裏表を判断することができる。

女性のものにもタグは付いているのだろうか。
残念ながら僕は女性用下着を所持していないので実際に確認することはできないし、下着専門店に出向くのもちょっと恥ずかしい。
実際に女性に聞くこともできない。
この物騒な世の中、いつセクハラとして訴えられるか分からないからだ。

ではここでは付いていない物と仮定しよう。
そう仮定した場合、このリボンが男性用のタグと同様の役割を持つと予想することができる。
もし「下着の前後が分からない」瞬間と「急がなければならない」瞬間と「暗闇で何も見えない」瞬間が同時にやってきたとき、その3つの問題を同時に解決する方法がある。
それがリボンだ。
リボン(見えない場合は触って確かめればよい)を前にすれば一瞬で全てが解決される。

よって2つ目の予想として前後の判断材料としての使い方を挙げた。

 

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予想③:元々紐で結んでいた名残

ゴムが無い時代にもきっと西洋の文明人は下着を穿いていた。
しかし、ただの布をあてがってもすぐに下がってしまう。
その為僕は当時の人間は下着を紐で結んでいたと推測する。
紐で結ぶと、前の真ん中の部分はリボン状になる。

時は流れ、ゴム製の下着が主流になった。
しかし、このリボン部分だけは受け継がれていった。

それが3つ目の予想だ。

補足として「スーパーマン」のコスチュームの変化を挙げる。
昔のスーパーマンは赤いパンツを穿いていた。
皆さんのイメージする「スーパーマン」も同様に赤いパンツを穿いていると思う。
写真を見ればわかるように、パンツにはベルトループが付いていて、彼はそこに黄色いベルトを通している。
ずり落ちないようにするための配慮だろう。
しかし、今の彼はパンツを穿いていない。
コスチュームはシャツやズボンという概念が無い全身タイツであり、古臭いパンツは無くなっている。
しかし、緑の丸で囲まれた部分をよく見てほしい。
なんと、ベルトのバックルのようなマークが残っているではないか。

きっとこれは、デザインを担当した人が
「今時赤いパンツは古臭いので無くしてしまおう。しかしこれは彼のトレードマークだ。スーパーマン=赤いパンツと認識している人も多い。じゃあせめてこの部分だけは残そう。」
と考えた結果だと思う。

これが女性用下着のリボンにも通じるのではないか?

 

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検証

さあ、予想は立てた。
あとは実際に確かめるだけだ。
インターネットで調べてみるも、どれも一般人の個人的解釈ばかりで当てにならない。

では下着メーカーに確かめてみよう。
そこで僕は真っ先に頭に浮かんだ「ワコール」のお客様センターに電話した。

正直とても緊張した。
同時に、「僕は何をしているんだろう」とニヒリズムにも陥った。
しかしここまで来たらもう引き下がれない。

勇気を持って電話した。
いたずらだと思われないように、しっかり自分の身分とこれはゼミの調査(現代服飾の機能性)であるということを明かした上で質問した。

すると、広報宣伝部の方が丁寧に受け答えてくれた。

「デザイン上の理由です。」

・・・。

・・・・・・・。

 

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結論

僕がこんなに頑張って予想したにもかかわらず、正解は至ってシンプル、「デザイン」だった。
予想①の「飾り」がほぼ正解と言っていいだろう。

確かにリボンがあれば可愛いかもしれない。
リボンに例えると分からない(僕は男なのでリボンを付ける習慣が無い)ので、

幕の内弁当に例えることにする。
幕の内弁当のご飯には、中心に梅干しがある。
ご飯ではない半分にはおかずが詰められているので、梅干しが無くてもご飯を食べるのには困らないはずだ。
じゃあ梅干しを取り除くとどうなるか。
…何とも物足りない。
梅干しを元に戻すと、
…バランスが整う。

きっとショーツのリボンもこんな役割なのだろう。